Thursday, June 5, 2014

星の王子様たち

星の王子様はいいました。


「大切なものはね、目には見えな・・」


突然、王子の言葉を遮るように、隣の王子がやおら立ち上がり、机をドン!と叩くと、 


「まったく、その通りだ!」


そして、大きな声でこう続けました。


「大切で目には見えないもの、それはつまり権力だよ、権力!

俺が右を向けと言えば、人々は右を向く、

左を向けと言えば左を向く!

この快感といったら!これこそが大切な物なんだ!」


この王子様は、ピョンヤン星の王子様。

そう、彼も星の王子様なのです。

そして、今この場は、いろんな星の王子様が集まった星の王子様会議の真っ最中なのです。

するとまた他の星の王子様が立ち上がりました。


「いや、そうじゃない!!!大事なものは金だ!

金にきまってるだろう。権力なんて金さえあれば手に入るんだぞ!」

とウォールシティ星の王子がいいます。

「いや、そうじゃない、権力よりも人を熱狂させる目に見えないもの。

それは『宗教』だ!」


といったのは砂漠ばかりの星からきたスルタン王子です。


「何いってるんだ、そんな物が大切なもんか!大切なのは権力だ!軍隊だ!」


「いや!金だ!!」


「違う、宗教だ!」


「。。なんだと!!」


「おまえこそ!!!」


こうなってしまっては、会議は、もう収集がつきません。

興奮した三人はつい殴り合いを始めてしまいました。


「いてえ!、もうお前の星とは戦争だ!」


そして、この争いが発端となり、十年に及ぶ宇宙戦争が始まったのでした。

戦争はすべての星を荒廃させ、文明は滅び、それぞれの王子達は失脚し、もはや星の王子様ではなくなってしまいました。

いまはどこでどうしていることやら。

荒れ果てた星の上で一人生き残った、星の王子様はつぶやきました。


「大切な物は目に見えないんだよ。。。

そういえば、平和ってのも目には見えなかったったよね。」

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