自家製のパンにバター、ただ切っただけの野菜。
それに挽きたてのコーヒー。
なんて贅沢な朝食だろう。
この家では、ミャンマーの奥地から、
ロシアから、そしてタイからやってきた三人のお手伝いさんたちが、それぞれ、パンを焼き、バターを作りコーヒーを挽く。
ミャンマーではエレベーターすら見たことがなかった、というメイドは
いまでは、パンはもちろん、西洋のおしゃれなケーキも上手に焼くようになった。
売れないモデルでもある、ハンサムなロシア人青年は
その太い二の腕で器用にコーヒーを挽く。
なんだか、とても贅沢な朝食だ。
となりには北欧の某国の大使館があって。
そこにはとてもヒステリックな奥様が住んでいて、何人もの使用人を叩き出す、というけれど、高い塀に囲まれた向こう側のことは想像するしかない。
そうだ、となりの家のこともわからないんだから、
ましてこの街のこと、隣の国のこと、世界のことなんて
想像するしかないのだ。
とにかく、こいつはとても贅沢な朝食だ。
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