「俺が気が狂ってると思うか?」
とある精神病院。
男は多重人格と診断されている。
普段の生活ではさほどおかしいことは無い穏やかな性格だが、彼の中には自分という存在がいくつもあり、
どきどき凶暴になったりするので、扱いかねた家族によってこの病院に預けられた。
血走った目をして男は続ける。
「ヒヒヒ、正気のヤツから狂気のヤツをみると、狂気のように見えるだろ。
それと同じで、狂気な奴から正気の奴をみると狂気のように見えるんだよ。
だから自分がどちらだなんて誰にもわからないんだ。
正気も、狂気も単なる多数決だからな。」
男の言うことも一理あるな、と思う。
確かに誰が正気かなんてわかりはしないのだ。
多数決で決まった物が正気、結局そうルールをつけるしかないんだ。
ふと窓の外からスピーカーでがなり立てる、選挙演説の声が聞こえてきた。
「われわれはこの国を〜〜&$#*%#!!」
ああ、そうか、もうすぐ選挙だな。
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